美容師として経験を積み、独立して自分の美容室を持ちたいと考える方も多いでしょう。しかし、美容室を開業するには、設備の準備や許認可の取得、計画的な資金運用など、さまざまな準備が必要です。当事務所には、「どんな手続きが必要なのか」「開業時に注意するポイントを教えてほしい」といったご相談が寄せられます。
今回は、美容室を開業する際に押さえておきたい基本事項についてお伝えします。
Eさん(30代、美容師歴10年)からこのようなご相談がありました。

「美容室を独立して開業したいのですが、開業までに必要な手続きや注意点を教えてください。」
Eさんのように、初めて店舗を持つ際には、手続きや資金計画に関する疑問や不安を持つ方が多いです。
当事務所の提案
Eさんの美容室開業をスムーズに進めるため、以下の3つの視点からアドバイスをしました。
1. 資金計画を明確にする
美容室を開業する際の費用は、設備や内装、運転資金など多岐にわたります。初期投資を現実的に把握することが大切です。
初期費用の内訳例
- 設備費: シャンプー台、セット椅子、ドライヤー、カラー剤など。
- 内装費: 店舗の改装費用。
- 広告費: 開業時のチラシや看板などの宣伝費用。
- 運転資金: 開業後数か月間の家賃や光熱費、人件費。
ポイント
- 自己資金だけで足りない場合、金融機関の創業融資を検討します。
- 融資を受ける際は、具体的な事業計画書と収支予測を提出することが必要です。
2. 必要な税務手続きと会計の準備
美容室を開業する際には、以下の税務手続きを行う必要があります。
(1) 開業届の提出
- 開業日から1か月以内に、税務署に「個人事業の開業届出書」を提出します。
- 青色申告承認申請書も同時に提出することで、青色申告特別控除(最大65万円)が適用されます。
(2) 会計ソフトの導入
- 日々の売上や経費を記帳するため、会計ソフトの利用をおすすめします。
- 項目ごとに経費を分類し、効率的な経理業務を実現できます。
(3) 消費税の確認
- 開業初年度は免税事業者になるケースが多いですが、売上が1,000万円を超えると課税事業者になります。
- 開業後も売上予測を立てて消費税への対応を準備しておくことが重要です。
3. 税理士が伝える節税のポイント
税務の基本を押さえたうえで、節税策を活用することが大切です。
(1) 青色申告の活用
- 青色申告を選択することで、以下のようなメリットが得られます。
- 最大65万円の控除
- 赤字の繰越(3年間)が可能
- 家族への給与を「専従者給与」として経費計上
(2) 必要経費の把握
- 美容室特有の経費を漏れなく計上しましょう。
- 例: 美容用品の購入費、店舗の光熱費、スタッフの制服代、広告費など。
- プライベートな支出としっかり区別して記帳することが大切です。
(3) 節税に役立つ制度の活用
- 小規模企業共済: 自分自身の退職金を積み立てる感覚で、掛金を全額所得控除できます。
- iDeCo(個人型確定拠出年金): 掛金が所得控除となるため、将来の資産形成と節税の両方を実現します。
お客様の声
税理士の先生に相談したことで、開業前から具体的な準備ができ、自信を持ってスタートを切ることができました。青色申告も大きな助けになりそうです!」