法人での有価証券投資

こんにちは、 小木会計事務所の谷口です。

日経平均が5万円を超え(最近はイラン情勢などで急落していますが・・・)、有価証券投資に注目が集まる中、近年では法人でも株式や投資信託を取得される事例が多く見受けられるようなりました。

今回は、法人で有価証券投資を行う際の注意点や個人との相違を特に売買についてご案内します。

個人と異なり、自動で損益を計算してくれない

個人で株式投資や投資信託を行った場合、原則、証券口座開設時に「特定口座」という口座を選択します。この特定口座を選択した場合、その口座内の1年ごとの損益が自動的に計算され、翌年の頭に「年間取引報告書」という形でいくら損益が出たのか、いくら税金が源泉徴収されたのかが確認できます。

しかしながら、法人の場合はその「特定口座」の開設はできず、年間の損益は自社で集計をする必要があります。従って、証券会社から受け取る、株式や投資信託等の購入時と売却時の資料をすべて保管し、それをもとに損益を計算する必要があります。

長期保有目的の場合はそこまで大変ではありませんが、毎月積立型や売買を頻繁に繰り返す場合には、1つ1つの取引をしっかり記録しておかないといけません。

 

購入手数料は、株式等の取得価額に含まれ、支払い時に損金にならない

株式や投資信託を購入する際に、一般的には証券会社に1~3%程度の購入手数料を支払いますが、これは支払手数料などの科目で損金とすることができず、購入した株式や投資信託の取得価額に含め、資産計上となります。

同一銘柄での損出しができない

「損出し」とは、含み損(評価損)が出ている保有株をいったん売って、税務上の「損失」を確定させ、再度同一銘柄を買い戻すことをいいます。損失を確定させることで、その年の他の株の譲渡益等と相殺して税金の負担を抑えることができます。

個人では、年末付近に上記の「損出し」を行うことが可能ですが、法人の場合は実質的に保有株式に変動がないため、「損出し」で発生した損失がなかったこととされます。

ただし、こちらの制限は同一の有価証券についてのみですので、例えば、類似の業種の中からJR東日本を売って、JR西日本を購入するというような場合は制限がありません。

参考Webページ:国税庁法令解釈通達2-1-23の4

(売却及び購入の同時の契約等のある有価証券の取引)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/02/02_01_04.htm

今回は上記の3点を挙げましたが、その他にも、受取配当の取り扱いや、消費税への影響、外国税額控除など有価証券に関する税制はとても複雑になっています。

顧問先様で有価証券への投資をお考えの方は、正しく有利な税務処理をさせていただくためにも、有価証券投資の資料は漏れなく保管いただき、適時のご提示をお願いします。

最後になりましたが、証券投資は、そのリターンの大きさの期待が魅力ですが、逆に損失が発生するリスクもあります。自己資金かつ余裕資金の中で行うことが必須ですので、その点だけお気を付けいただき、有価証券投資をご検討いただければと思います。